jeanne-lully’s blog

ちょっと変わった元日本人がパリで思う事

日本人のフランス帰化に対する反応と、私がフランスになろうと思った動機

 フランスにずっと住みたい日本人には、私がフランス国籍になったというと羨ましがられる。

 

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短くて1年毎にやってくる滞在許可証の更新のために、書類を集めて手続きの予約をしてお金を払う必要がなくなるのだ。

 


 学生だと更新の際に成績表や出席証明、銀行の残高かバイトの給料明細書、家賃の領収書が必要になる。

 


 それに語学学校だと何年も滞在許可が下りない。

 

専門的な勉強をする為にフランスに来るのだから、語学学校はその学校に行く前の準備として通う所だというみかたを国はしているのではないか?

 

 

都市伝説では全くフランス語が出来なくてフランスに来た人だと4年まで。

 

そうでないと2年あたりで専門学校か大学に進学しないと許可が下りなくなるらしい。

 

あくまでも都市伝説だから、それよりも長く語学学校に通っている人もいるだろう。

 


語学学校の同級生にイタリア人やスペイン人がいたが、言葉が似ているためか、たいして勉強している感じはなかったが、しっかり授業中に意見を言いまくっていた。

 


ベテランの先生によると、フランス語のレベルアップに日本人はヨーロッパ人の二倍の時間がかかるそうだ。

 


サッサとフランス語を習得するヨーロッパ人にとって、何年も学費の高い語学学校に通うということが理解できない。

 

 

 私は今回2度目のフランス留学でフランス語が初めてではなかった。

 

小心者なので、都市伝説を信じて2年は語学学校に通って、その後は学費が安い国立の大学に通う事に。

 


何しろ学費が当時、年間で190€もしなかった。

 

日本では高校卒業までの学歴なのに、いきなり大学進学、キャンパスライフ体験が出来て大学に通うのは遠足に行くようなノリだった。

 

誤解しないで欲しいのですが、大学進学はそんなに大変な事ではない。

入ってから付いていくほうがよっぽど大変だ。

 

大学に入るために

願書

高校卒業証明書

最終学歴の成績証明書

志望動機を書いた物を提出し、

入学資格に必要な語学レベルB2の証明書がなかったので第1志望校でTCF-dapと言うフランス語レベルを調べる試験を受けたくらい。

 

 

TCF-dapの結果はB2に届かず、一つ下のB1だったが、幸いな事に第1志望校から入学の案内が届いた。

 


私と同じ年に同じ大学に入った知人が何人かいたが、その人たちもB1だった。

 


競争率の低い大学を厳選し、そこを第1志望にしたのが良かったのだ。

 


私の知り合いは3.4年程語学学校に通っていたが、滞在許可証の更新の時に係員から

 


[ 今回は6カ月の許可を出してあげるけど、次回は語学学校のままなら許可は出さないから。]

 


と警告を受けて、自分の専門とは関係ない、リーズナブルな専門学校に通い始めた。

 


フランスの魅力に取り憑かれた学生は、そこまで勉強好きではなくても学歴を上げながらフランスに残る道探しと生活の為にバイトと、忙しい毎日を過ごしている。

 


だからフランス人になれるものならなってしまって、好きな事をしてフランスで生活したいと思う人もいるだろう。

 

 

一方フランス人の連れの事情でフランスに住んでいる人はどうだろう。

 

たまたま結婚相手がフランス人だっただけでフランスに来てしまったのだ。

だからそこまでフランスに住むことにこだわっていない人が多い。

 


 好きで住んでいるわけではないから、フランス語を勉強するモチベーションは好きで来ている人ほどは上がらない。

 


フランスに興味を持ちたくても持てない人もいる。

仕方ないのだけれど、本人達にとっては深刻な問題。

 


家庭から一歩外に出ると、非日常が待っている。日本に帰りたくなるような出来事勃発。

 


日本みたいに物事が計画的に進むと思ったら大間違い。

 

 生活していてフランス語で困る事も出てくるわけで。

 

まあフランスが好きで来ていてフランス語を勉強していたって、困る事は時々あるけれど。

言葉が分からない!という恐怖感は少ないから精神的には楽。

 

 言葉以外にも日本よりも面倒な事は多々あって、それをクリアしていく喜びを感じるよりも、壁にぶち当たっている衝撃を不快に感じるのかも知れない。

 

心が閉じてしまって明るく物事を考えられなくなると、疲れも溜まってくる。

 

なんでこんな苦労をしてフランスにいるんだろう! とイヤになるそうだ。

 


歴史を残した趣のある景色を見ようと世界中から観光客がやってくる街に住んでいても、本人達が感じるのは不便だし住むのが大変だということだけ。

 

 

 

こういう人達に私がフランス国籍をもらったというと、

 

[ えーっ? なんでフランス人になったの?日本に帰らないの?]

 

と不思議がる。

 

 

ところが10年以上フランスに住んでいる日本人の反応は違う。

 


だいたいは10年の期限がある滞在許可証の保持者で、フランス滞在歴も10年は越しているベテラン組。

 


フランスにも馴染み、日本のニュースも把握していてどちらかに片寄ることなく絶妙なバランス感覚を持って生活している。

 

 10年滞在許可証を持っていると社会的信用が違うらしい。

 

 これを手にした時点で、滞在許可証の更新の心配から解放される。

 


 更新は簡単に済むようで、昨年更新した人は拍子抜けしていた。

 


10年カードなら老後は日本に本帰国すると言う選択肢を残しておけるし、このままフランスに残ることもできる。

 


もしかしたら一番ベストな状態?

 


  実は私もフランスに帰化できなければ、今年この10年の滞在許可証を申請する事になっていた。

 


申請に必要な書類はかつての短期の滞在許可証の更新時よりも多く、厳しい審査をするのだろうと予想できる。

 

10年滞在許可証の保持者からしてみれば、

 

[ 何でわざわざ帰化するの?

今はフランスが良くても、歳を重ねていくと故郷に帰りたくなる事があるかもしれないよ。

後で後悔しないといいけど。]

 


ってな感じで、帰化申請をする前に話したら心配されてしまった。

 


 この一言は考えさせられた。

この先日本に帰りたくなるのかなぁ?

歳をとって病気になったら、そんな風に思うのかな?

 


 多分それはないだろう。

だって一回目の留学後に日本に帰って就職したけれど、日本での生活に耐えられなくて一年後にまたフランスに戻ってきたのだ。

 


その一年間の日本での自分の感情をはっきりと覚えている。

 


特に酷く嫌な目にあった訳ではない。

日本社会でそれなりに生きていけるけれど、留学前とは違って日々をやり過ごすだけで、曇りの日のようにスッキリしない気持ちを常に抱えていた。

 


フランス生活で価値観が変わってしまったのだろう。

過去に日本で楽しかった事を楽しく感じない。

 


かつて仲の良かった人達に再会したけれど、なんだか過去とは違う距離を感じた。

 

 私がそう感じただけで、相手はそんな事は思っていないかもしれないし、フレンチナイズされた私に違和感を感じて引いていただけかも。

 

それにしても、一番辛かったのは毎日見る日本の街並み。

 


 芸術家達がこぞって描いた街並みが今も残るパリの美しい景色の代わりに、バラバラな外観の建物、洗濯物の並んだベランダ、電線がブラブラした空、歩道に飛び出した看板、眩し過ぎるネオン、街に溢れてる自転車など、息苦しさを覚えた。

 


うーっ、目が耐えられない😭

 


趣味の問題だから、日本が近代的で新しい感じがたまらないと言う人がいるは承知している。

 


新しいビル、綺麗で清潔なトイレ、物凄い品数から選べる食品、安くて便利な小物、時間に正確な交通機関、いつ届くか分かる宅配便、綺麗に陳列された商品、いつでも受けつけてくれる病院、世界に誇れる日本だ。

 

でも人がどんなに日本の良さを語っても、旅行で綺麗な景色の街に行くならいいかもね、くらいにしか思えない。

 

実際に一度日本に帰って、また一からスタートしなきゃと生活してみたけれど、帰国前にパリで予想していたものと全く違う現実に唖然としたのだ。

 


この一年の体験がすごく役に立った!

 


もう二度とあんな思いはしたくないと、私の身体や細胞、全てが一丸となって日本から私を遠ざけている。

 


だからこの9年で一度、1週間日本に行っただけ。

 

家族と仲がいいのに会いに行かない私は世間からすると、変わってる人らしい。

 


私としては会っていなくても家族と繋がっている感じがして、安心しきっている。

 


これだけの長い間離れて暮らしているので、いろいろなことを聞いておきたいと思うことがある。

 


家族個人の歴史の詳細を知らずにここまで来てしまった。

 

後で後悔するとすれば、もっと家族と話しをすれば良かったということだろう。

 

 

私が日本国籍でなくなる事を恐れなかったのは、日本への帰国の可能性がかなり低いからだ。

両親健在で兄弟もいるが、親に何かあれば兄弟がなんとかしてくれるはずで。

 


家族に対して無責任で申し訳なく思っているが、日本で死んだように生きている姿で家族に接するよりは、こうして遠くで水を得た魚のように生き生きとしている方が良いと思っている。

 

なぜ10年の滞在許可証に魅力を感じなかったのか?

 

万が一フランスと日本の国交に変化があったら更新できなくなるかもしれないからだ。

 


ない事だとは思うが、可能性がゼロではないのだから信用しきれない。

 


それに少ない年金でフランス生活ができなそうなら、ユーロ圏の物価の安い国に引越すという事も視野に入れている。

 


確実にフランスまたはヨーロッパで生涯を終えたいのだから、途中でいられなくなる事は避けたい。

 


また、私が日本人としてフランスにづっと居るとなると、日本から必要な書類を取り寄せなければならない事があるかもしれない。

 


今は家族の誰かしら手伝ってくれるが、この先今までみたいに頼めるかは分からない。

 


仕事が忙しい、病気、引っ越しなど、状況が変わる事がありえる。

 


できれば私の書類のために面倒な事を頼みたくないし。

 


要はフランス界隈に一生いると決めたのだから、日本に関わらないでこっちで自分で出来る事を増やしていきたいのだ。

 


年を重ねていくにあたって、シンプルに出来る事はシンプルにしていきたいと思う。

 

フランス国籍を頂けて、私にとってはこれ以上の宝物は他にない。