フランス人流 旅と食事
特別なお金持ちは別として、一般的な人達とバスツアーで一緒になります。
私はかつて旅では
美味しいものを食べ、
買い物を楽しむ
この二つは旅行の醍醐味だと思っていたのですが、フランスの人達はそこに重点を置いていない事はすぐにわかりました。
なぜなら、日帰り旅行に弁当持参。
買い物、よっぽど欲しい物意外買わない。
レストランで名産を味わって来たとしても、かなり安いレストランを探し当てる。
朝はホテルでしっかり食べて、昼はその時任せ
なんならホテルの朝食に出ていたフルーツを頂いておいて昼に食べる。
そのかわり、行き先の事を事前に調べている。
珍しいものを見る事に貪欲。
後で必ず[ 素晴らしい物を見てきた!]と自分の見てきたものを嬉しそうに語る。
私の見てきた人達、学生さんではありません。大の大人なんです。
日帰りで出かけるのにおにぎり作って行きますか?
旅行で一泊する時ホテルで朝ごはんをしっかり食べて、昼は食べない事はありますか?
長期間の海外旅行なら途中で胃が疲れて食べたくないから、軽く済ませる事もあるでしょう。
私が思うに、フランスの人にとって旅とは発見や体験なのでしょう。
バカンスは日常を離れる事に意義がある、ただそれだけでいいのかも知れません。
休みが多いのでこまめに旅行をする人もいます。
しかしフランスの平均収入は日本よりも低いはずです。
旅をするために節約できりところは節約しなくてはなりません。
旅好きなバックパッカーに通じるものがありますね。
先日の旅行で、家族づれグループと半日一緒に行動しました。
彼らが朝食をしっかり食べているところを目撃していたのですが、やはり昼は食べませんでした。
帰りのバスに乗り込む前にテイクアウトのケバブを買ってきて、途中に立ち寄ったドライブインでそれを夕食にしていました。
そんな彼らは、観光中に欲しい物があれば多少は高くても購入していました。
不食に出会う前の私なら、朝ご飯をホテルで食べても、昼は旅先のレストランで郷土料理を食べてみたいと思うはずです。
パリでも手軽に食べられるケバブを夕食にするくらいなら、途中にあったパン屋さんで地元らしいパンでも買うとも思います。
またサンテミリオンに行った時は、せっかくなので地元のワインとフォアグラでランチを楽しもうとレストランを探していたら、素敵な雰囲気でお値段も手頃。
ところが一緒に行動していたフランス人マダム達が
[ ここはフォアグラが名産だから、あそこのフォアグラサンドイッチを買って、高台まで登って食べましょうよー]
なんて盛り上がっていました。
フランスパン半分にフォアグラを挟んで7€と水を買い、見晴らしのよい高台でピクニックをすることに。
素晴らしいー! とは思いませんでしたが、そこに1時間もいたので景色は目に焼きつき、フォアグラしか食べていないので味もしっかり覚えています。
いままでの旅行で一番忘れられない出来事であり、印象的な旅の食事となりました。
ちなみにこのマダム達、翌日のアーカッションでは牡蠣が名産との事で、レストランで牡蠣を食べたそうです。
え! レストランにも行くのね?
確かにサンテミリオンよりも見どころが少なく暑いアーカッションなら、海辺のレストランで時間を使ってももったいなくありません。
街なら散策中心に、海辺ならリゾート気分を味わう。
なるほど、理にかなってます。
ところでフランスのドライブインでは、食事どきになると持参したサンドイッチやサラダを広げてピクニックをしている光景をよく見かけます。
日本ならご当地メニューや珍しい軽食があるのがわかっているなら、それを楽しみに立ち寄るのではないでしょうか?
その点フランスのドライブインはどこも大差なく、ドライブインに食の楽しみを求めても叶いません。
それでもスーパーで売っているようなパックに入ったサンドイッチを、ドライブインならではの割高価格で買って食べている人もいます。
そのサンドイッチ、どこにでもあるのにわざわざここで食べなくてもいいのでは?
ただお腹が空いただけか、お気に入りなのかは分かりません。
こういう食に重点を置かないフレンチスタイルの旅を知ると、それもいいなぁと思うようになってきました。
それで昨年夏のカルカッソンヌ旅行で、いっそのこと不食第一弾をしようと思ったのです。
私のあまり食べないような物が名産であれば、食べたくならないので好都合。
たいした美味しいものが無かったなぁとガッカリする事もないし。
時間は沢山あるので、目のご馳走を求めて観光に集中できました。
普段は自然の中にいても何も感じなかったのですが、食べていなかったので空気のキレイな自然の良さが分かるし、美しいとも思えるようになったのです。
先日のオランダ旅行と、すでに二回、食の記憶がない旅の思い出ができました。
もちろん行き先によっては、食が目的の場所もあると思います。
その時は思いっきり楽しめるように、日頃の無駄遣いをみなおして予算をつくって楽しみたいと思います。