コロナ 騒動で分かった人の本質
フランスで外出制限のため、家にこもって2週間が過ぎました。
人と話す事はほとんどなく、手作業をしていると、いろいろなことが頭に浮かんできます。
外出制限が決まってすぐに思った事。
それは出来ればパリから脱出して、窓からの景色が良くて暖かいところにでも短期滞在したい。
私のアパートは外観工事中で、まどの外は幕で覆われており、景色は見えなくなっているので、とても耐えられないと思いました。
近くのホテルに短期滞在することも考えましたが、今後の収入が下がる事もあり、結局は自分のアパートにいます。
じゃあ仮に、知人が別荘でも持っていて、そこで疎開するかと言われたなら、きっと行ったと思います。
外出制限が出て直ぐに、日本に一時帰国した人達もいます。
実家など宿泊をアテに出来る場所がある人は、まだロックダウンしていない日本にいた方が、やりたい事ができると思うのでしょう。
日本に一時帰国した知人に、
[ 日本に行けばいいのに。パリにいたってしょうがないよ。]
と言われ、
[ むしろ日本に行ったって、私はやりたい事なんてないから、好きなパリにいた方がまだいいの。]
と答えたら不思議そうな顔をしていました。
まあ、私は好きでフランス人になったわけですから、私の国はフランス。
たとえ戦争が起きても、私にとって日本は戻る場所ではないのです。
その一方で、もともと予定していた日本の実家行きをキャンセルして、パリに残っている人達もいます。
こんな時に行ったって仕方ないから、と言っていました。
日本に行った人も、行かなかった人も私も含め、皆んな自分の事を中心に考えて決断した事になります。
今の日本の外出自粛について報道番組を見ていたら、ふと職場の上司の言葉を思い出しました。
3/17の外出制限が出る前から、
[ 自分が感染者だと思って、人に移さないように行動しなさい。]
そう部下に言っていました。
今でこそ当たり前のように言われていますが、あの時点でそんな事を周囲に指示していた人がどのくらいいたでしょう。
私を筆頭に、大体の人は外出制限についてこう思っていたのではないでしょうか。
感染しないようにしなくては
外出できないとストレスになる
突然の空いた時間を有意義に過ごしたい
そして外出制限が発表された後、
[ 何か人の役に立てる事はできないのかなぁ?
今困っている人がいると思うんだけど、
何かボランティア活動があればなぁ]
と、人の役にたちたくても、それを許さない状況の中で、その上司は1人で悶々としていました。
こんな非常時に人の事を考えている一般人がいるのかと、上司のモノの考え方を改めて尊敬しなおしました。
それを聞いてから、私はパリに残って良かったと思いました。
もしも日本の実家に行っていたら、実家の近所の人がどう感じたか?
もしもリゾート地へ疎開していたら、そこの住人はどう感じたか?
逆の立場だったらどう思うのだろう?
感染者は誰かに移された被害者なのですが、周囲の目には加害者として映ります。
もしも自分が先に感染発覚し、後から周囲の人が感染発覚して亡くなってしまったら、ひょっとしたら自分がその人に移されたかもしれないのに、周りの大多数はそう思わないでしょう。
先に感染発覚したほうが加害者だと思う。
ウイルの怖さよりも、こういう人間の思考の怖さがあって、外出する気がなくなってしまいました。
この非常時だからこそ、人の本性がでます。
この機会に、より良い人間関係だけをしっかり育てていきたいと思います。