着物を着ているフランス人にうるさいことを言う日本人
この夏から、私は和装で仕事をしています。
特に義務ではありません。
ひょんな事から毎日和装をするようになりましたが、その頃に持っていたのは二着のみ。帯は二本。
プロじゃないんだから、和服を持っているだけでもマシだと思うのです。
先日そのうちの1枚を着ていたら、
[ あらー、季節がめちゃくちゃ。
それ、浴衣ですか?]と、日本人女性にいわれました。
[ お祭りみたい]とも、、、
ちなみに今は10月です。
これ、ポリエステルの合わせなんですけど、木綿の一重に見えてるのかしら?
確かに柄は季節外れの花の模様。
私、お茶会や結婚式に参加している訳じゃないんですけど。
しかも私、フランス人。
いつかはこんなアラを探して指摘してくる日本人に出くわすとは思っていたけれど、和服生活4か月目にして現れたのでした。
でもね、私は日本文化の継承や発展のために和装しているのではありません。
コロナのせいで、日本に旅行に行かれないフランス人や、日本好きな外国人を笑顔にしたいから着ているのです。
街を歩いていると、時々知らない人に呼び止められて、素敵だと言われます。
アパートの管理人さんには、結婚式に行くのかと聞かれた事もあります。
和装を見るのを彼らは嬉しく思っている様です。
こんな不安定で暗いご時世に、ちょっとでも人が明るい気持ちになってくれたらいいなぁと思うのです。
和装は、今私に出来る社会貢献だと思っているのです。
私の和装から華やかでめでたい雰囲気が出ているなら、見る人も明るい気持ちになる事でしょう。
お祭りみたいで大いに結構。
皆んなの気持ちがウキウキしてくれたら、楽しい気分でいいじゃないですか。
5~6年前だったか、バスティーユにあるオペラ座で蝶々夫人をみた事があります。
その時の演出は、セットも衣装もシンプルにしたものでした。
女性の衣装は真っ白で、長襦袢か白装束に見えました。
襟は左が下になっていて逆。
それを何人の観客が気にしていたと言うのでしょう。
最後には皆んな
[ ブラボー!]と言って喜んでいましたよ。
外国人からみたら、襟のかたち、長いそで、帯がついた服は着物に見えると思うのです。
私が着物と言わず和装と言う言葉を使うのは、、知識なく自己流で着ているから。
しかも知識なく手縫いした、洋服布の和服を着物と呼んでいいのか分からず、やはり和装と表現するのが相応しいかなぁと思います。
だから日本のルールに当てはめられても困るのです。
そういうのは日本の正式な会でやって下さい。
フランスで季節感はどうしても必要なんですか?
夏からいきなり冬になる国ですよ、ここは。
コート姿とTシャツ姿が混在していても誰も気にしない民族ですよ。
個人の自由にオシャレを楽しむ国、その首都パリ。
パリコレがある街なんですよ。
そんな所で、外国人に向かって日本の伝統を振りかざされても困るのでやめてほしい。
斬新なデザイナーさんも、こんな気持ちになるのかしら?
着こなしに関しては、冬に寒くみえたり、夏に暑苦しくみえなければ、それで良しと私の辞書には書いてあります。
春以外に桜を見たら不愉快になるなんて可愛そう。
季節感を大切にするなら、日本人はなんで冬に寒さを楽しまないで、ハワイに行こうとするのでしょう?
ゴッホのひまわりと言う作品なんて、一年中展示してると思うんですよね。
真冬にルーブル美術館に行って、雪の絵ばかりだったら嫌だわ。
そもそも何で着物となると、本人は着ないのに正義感を振りかざして評論家気取りをするのでしょう?
気軽な家飲みで友達と集まった時には、普段ジャージしか着ていない人に
[ その帯、スーパーで買ったみたい]
と言われた事があります。
ジャージを着た人と飲むのに、正絹帯の必要はないでしょう。
いくらブランドものでも、所詮はジャージ。
晴れの日に着る服にはならない。
ジャージは普段着物と同じ位置づけなんだから、私はTPOに合っていると思うけど。
洋服だとうるさい事はあまり言わないのに、和装だと粗探しをしてくる日本人、かなりウザい。
それならあなたがパリで毎日正しい和装をして、私に見本を見せてくれ!
と言いたい。
こんな事があると、しみじみフランス人になって良かったなぁと思います。