jeanne-lully’s blog

ちょっと変わった元日本人がパリで思う事

フランス観光地に住むという事

  フランスめがけてやってくる私達外国人のソロの多くは、外国人がいても違和感がなく、メジャーな街で、生活に便利で仕事が見つかりそうな街を選ぶ。

 

となると、そこはもれなく観光地周辺。

地元で観光客と出くわす事はほとんどない。しかし、街中に行けば日常的にすれ違う。

 

 ある朝、スタスタ歩く私を見つけるなり、満遍の笑みを浮かべて近づいてきた中国人マダムがいた。見るからに観光で来ている感じだ。

 

 もしうちのオカン(母)がフランスにきたらこんな感じかなぁ? と、久しぶりに親を思い出した。

 

 と、いきなり[ ニーハオ、#%$€~•? ]と中国語で私に話しかけてきた。あきらかに何かを私に聞きたい様子なのは理解できた。

 

でも ゴメン、マダム! まだ中国語は世界共通語になっていないの。

だから私はまだ[ ニーハオ ](こんにちは)と、[ シェイシェイ](ありがとう)しか覚えてないの。

 

 英語で答えてマダムは分かるかなぁ?と半信半疑だが、世界共通言語の英語で [ 私は中国語が話せません。] と申し訳なさそうな表情で答え、その場を後にした。

 

 マダム、国に帰ってからご近所の人に[ フランスに住んでる人は冷たいわね。こっちは困ってるのに、助けようともしないでサッサといっちゃうのよ。]なんて言わないでね。誤解ですから。

 

 私だってアジア人のよしみでマダムの役にたちたいとは思ってる。
でもね、顔は似ていても言葉は似てないの。

 

 みなさんは解決策として、時間をかけてゆっくりジェスチャーでやり取りをすれば良いと思われるかもしれない。

 

 しかし、私がここに3分立ち止まるということは[ 遅刻 ]のペナルティーを受けるということなのだ。

 

 週に5日は、街中で私の分からない言語で話しかけてきても、スルーせざるを得ないので、ご了承下さい。

 

 あなたなら 人に親切と、社会的信用のどちらを優先させますか?

 

 じゃあ、もしもあなたがフランスに来て道を尋ねたい場合はどうすればいいのか。

 

 携帯にナビがない場合、誰かに聞きましょう。

その際、だいたいはこの一言でこちらに振り向かせる事ができる。

 

[ Excusez-moi ]
エクスキューゼモア

 

フランス語で[すいません]という意味だ。

 

これを聞いたフランス人は、フランス語ができる相手なのだと認識する。

すると[ なんだろう⁇ ] と気になりこちらを見るに違いない。

 

 この時に、可愛いワンちゃんが悲しそうな目をしているのを思い出して、同じ表情を作ろう。

 

この旅行者、ほって置いても大丈夫そうだ、と思わせてはいけない。

この人を助けてあげなきゃ!と思わせるのだ。演じよう。あなたの観客は1人しかいない。

だから恥ずかしさなんて引っ込めちゃってOK。

 

 ターゲットが足を止めてくれたら、表情は変えずに、相手の目を見てゆっくりと、[ どこ?] という単語ひとつでいいから、地図に指をさして聞いてみよう。

 

ちなみにフランス語ではou(う)と言えばいい。

 

よっぽど頭が悪くない限り、地図に指を指している人をみたら、[ ここに行きたいのだろう]と察するだろう。

 

うっかり芸能人に当たったら、あなたの地図にサインをして行ってしまうかもしれないが。

 

 これでその後の細かい道は分からないにしろ、向かう方向が分かったのだ。

 

 あとは一番近くにある角の建物の壁にに張り付いている小さなプレートになんと書いてあるのか確認しよう。

 

 そこにはあなたの現在地を示す、道の名前が書いてある。 

 

 フランスの全ての道には名前が付いている。

そして両側それぞれが偶数と奇数で別れているので、簡単に目的地にたどり着ける。

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 さて、観光地にある店に入れば、店員さんが[ ハロー ]とか [ ニーハオ ]と、挨拶してくれる率は高くなる。

これを屈辱だと思う必要はない。彼らは親しみを込めて、フランス語だと理解できないであろう観光客には翻訳してくれているのだ。

[ 日本人です ]と自己申告すれば、[ コンニーチワ ]と言いなおしてくれる博学なスタッフもいて微笑ましい。

来たばかりでフランス語を話し慣れていなかった頃、私がフランス語で話しても、向こうは英語で必死に答えようとしていた。条件反射というものだろう。

最近は中国人観光客の増加に伴い、店舗スタッフも中国人がふえた。

したがって[ニーハオ]と声をかけられる確率は高くなるのだから、この単語は覚えておく必要がある。

先日百貨店のアジア人店員さんに、
[ ニーハオ]
と言われたので、
[ 私、こっちに住んでるの。その新作の色、とてもステキね。ところであなたはフランス生まれなの?]
と聞いてみた。

彼女はフランス生まれだそう。
だから外国人の話すフランス語の発音で、その人の国がわかるらしい。

で、私を韓国人だと思ったそうだ。

心当たりがある。
語学学校の同級生で、よく話しをする相手に韓国人が多かった。

だって日本人同士は日本語で話すし、あまり一緒にいると勉強にならないから、あえて距離を置くときもある。

 

 生徒の中にはいろいろな国籍の人がいたが、アジア圏の人のほうが生活習慣や思想が近そうで、一緒にいて違和感がなかった。だからかな?

 

なまりは移るのね😅

 

 百貨店の話に戻ると、顔だけ見て何人か分からない場合、アジア系には[ ニーハオ ]、それ以外は[ ボンジュール]とフランス語にするか、[ ハロー ]にするか、三ヶ国語対応をしている。

 

 したがってこの手の職種は、フランス語の他に英語は必須。

 

 日本人用の求人でも、[ 母国語が日本語の方でフランス語と英語もビジネスレベル] なんていう求人が多々ある。

 

 そんなエリートなら、もっと違う仕事を探すんじゃないの?というような職種でも、三ヶ国語対応スタッフを配置しなければならないようだ。

 

 これが英語圏の国ならば、英語と母国語の二か国で済むのではないだろうか。

 

 フランス語を使うので精一杯なのに、英語もとなると生涯学習を約束したようなものだ。

 

 私に関して言えば、今のところは旅行者に聞かれそうな内容ならお答えできる。

それよりも一歩踏み込んだ話は、私の英語力では理解できない。

 

それでも笑顔で、理解しようとしている姿勢はアピールするようにしている。

 

 だって、[ フランスの人は優しくない !! ] なんて旅行に来た人達に思われたくないもん。

 

フランスのイメージを作っているのは、フランスの住人である。

 

 この美しい国を世界の皆んなにも見にきてもらいたいのだ。