jeanne-lully’s blog

ちょっと変わった元日本人がパリで思う事

エルコラーノ遺跡で泣いた人は、きっと私だけでしょう

 ポンペイ遺跡よりも小さなエルコラーノ遺跡は、ナポリから20分と近くにあります。

 

 せっかくだから行ってきました。

 

こちらはローマ貴族の別荘地だったそうで、一月だというのに太陽の光が眩しく温暖で過ごしやすい地域です。

 

 エルコラーノの駅を出て遺跡までの道を真っ直ぐ歩いていると、のどかな海辺の田舎街で、ナポリでの緊張が解けてリラックスできました。

 

この街好きだなぁ、なんて思っているとエルコラーノ遺跡に到着。

 

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ポンペイとは目線の高さが違い、地面の下から小さな街が表れたようです。

 

ポンペイは高台に都市がある感じなのに、エルコラーノは谷に一丁目がある感じでしょうか。

 

二階建ての建物がチラホラあって、あちこちで修復作業をしています。

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 地球の歩き方に説明が書いてある見所のうち二件は閉鎖中でした。

 

また来る楽しみにとっておきましょう。

 

 昨日行ったポンペイよりも壁の絵や建物の状態が良く、よりリアルに当時の様子が想い描けて楽しくなります。

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リアルすぎて玄関を入る時に、思わず [ お邪魔します ] と言ってしまいます。

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留守中にすみません、って感じ。

 

石造りの家で、窓のない部屋はひんやりします。

これなら夏でも大丈夫かな?

実際に夏に来て、確かめたい気もしますが。

 


 サムニテスの家で床を見た時に、綺麗な模様だなぁと思って、その家の内装をよく見ると、玄関の模様や壁の色使いまで美意識が高いなぁと感心してしまいました。

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美しいと思う奥の部屋の模様


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感動した玄関の模様

 

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入ってすぐの部屋から玄関を撮影


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天井は当時の様式で四角く穴が開けてあり、その真下に小さなプールがあり、雨水を貯めていました。

 

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ちなみにこれは他の家ですが、プールとはこんな感じで、大きな家にはこんな水溜めがあります。

 

 その家の前の歩道だけ、綺麗な色の石かガラスが散りばめられています。

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この家が一番のお気に入り。

遺跡でお気に入りを見つけたのは生まれ初めて。

 


 続いて同じ通りの[ 板仕切りの家 ]の中に入ってみると、明らかにお金持ちの館という風情があります。

 

 しかし、中にいると寒気がするし、嫌な気持ちになりました。

 

写真は撮ったけれど、すぐに消極してしまいました。

 

ここの住人はどんな人達だったのでしょう?

 

ポンペイではこんなことを思ったりしなかったので、なんか不思議な感覚です。

 

 更に進むと、閉鎖して入れない [ モザイクの中央広間の家 ]があり、地球の歩き方に解説がある見所なのに残念。

 

 その家の庭を眺めていると、子供達が遊んでいたんだろうなぁとか、懐かしい昔の風景にありそうだなぁ、なんて想像が膨らんでしまいます。

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 なぜかそこから離れたくなくて、ジーっと見つめていたら、突然涙が溢れて止まらなくなってしまいました。

 

 遺跡とか庭を見て泣く人なんて、普通はいないでしょう。

 

 エルコラーノ遺跡で泣いていたら、変な人だと思われるに違いありません。

 

 空いてて良かった。周辺には誰もいません。

 

 とりあえずこの場を離れて落ち着かなくては。

 

 この道にある建物が、私の感情を動かしてくるという、初めての体験をしました。

 

 霊感のない私がこんな経験をするなんて、さっきは何かの間違いかもしれないと思い、しばらくしてまた同じ道に戻って同じ順番に歩いてみました。

 

 冷静な目で想像しないように見ていったので、先程よりは感じることはありませんでした。

 

 なーんだ、やっぱり想像から来ていたのかぁ。

 

 しかし、あの庭の前に来るとまた涙が出てしまうのです。

 

ナポリの宿に戻ってから、庭の写真をもう一度開いてみると、やはり涙が溢れてくるのです。

 

          何なのだろう、この庭?

 

 今回の旅行は、きっとこの景色と出会うためのものだったのかもしれません。

 


今までいろいろと旅行をしてきましたが、ある景色をみて感情が揺さぶられたことはありません。

 


エルコラーノ、生涯忘れない地となるのでしょう。

 


そしてまたいつかあの庭の前に立って、涙がでるのか試してみたいと思います。