サルラ ラ カネダという良い評判しか聞かない観光地に実際行ってみた感想
長くフランスに住んでいるのに、 今年になって初めて知ったサルラ.カネダという中世の面影を残す小さな観光地が気になって、リモージュに宿をとって、そこから日帰りでサルラに向かいました。
リモージュ以外にはボルドーからアクセスできるのですが、ボルドーは最近行ったばかりなので、まだ行った事のないリモージュからアクセスする事にしました。
日帰りとなると行きに二本、帰りの最終電車は14:31 サルラ発のペリグー行き。そこからリモージュへの電車があります。
サルラの滞在時間を最大限にする為には、6:07 リモージュ発の電車で行くしかありません。それでもサルラに滞在できる時間は4時間程度。
駅から旧市街までは20分くらい歩きます。その往復時間を引くと、観光できるのは3時間強。
まだ薄暗い中、一両しかないローカル線に乗り込みます。
なんと綺麗な車両なんでしょう。
明るくなってゆく景色を楽しんでいるうちに、ペリグーに到着。
ペリグーからル ビュイソンへ電車で移動。
このル ビュイソンでバスを1時間待つのですが、日本語でネット検索をしても情報はほとんどない村です。
駅の近くに観光案内所があり、田舎好きな人が訪れるようなところのようです。
居心地の良い村で、散策していたらバスの時間になりました。
バスの移動は列車とは違い、街中やちょっとした観光地を間近に見られるので、フランス好きの私にとっては楽しい移動となりました。
バスの移動も組み込んで、ホントに良かったです。
水曜日はマルシェがでるそうで、サルラに近くなると渋滞して車の進みがゆっくりになってしまいました。
ようやくサルラのSNCF(電車)駅前に着き、来た道を歩いて戻って行きます。
駅を出て左側に二本の車道があり、左側を真っ直ぐに進み、ロータリーにでたら右に進みます。
サルラの旧市街の入り口まで徒歩20分くらい。
途中にレストランやお土産物屋さんなどもあり、観光に気合いが入っている町なんだなぁと、この先が楽しみになります。
余談ですが、フランスではよっぽどメジャーな観光地以外は、びっくりするほど商売っ気が感じられません。
お土産を買おうとしても、気の利いた店がほとんどない所もあるのです。
なのでサルラは相当な観光客が訪れる所なのでしょう。
旧市街の入り口に着くと、教会の前にはマルシェが出ていました。
名産がクルミだそうで、クルミのパウンドケーキがあちこちで売られていました。
試食をすると、製造元によって結構味が違います。
また、トリュフパウダーやトリュフのオイル漬け、トリュフ塩、フォアグラの缶詰などを扱う店がありました。
地元のサラミで何の金メダルか分かりませんが、受賞した物を試食させてもらいました。
塩っぱい塩肉といった感じで、素朴ですが、美味しいかと言われたら、もう食べなくてもいいかなぁと思いました。
そこの販売しているおじさんが、[ これはフランスで製造されていてラベルがきちんと付いている、本物のサラミです!
保存料などが入っていないから、塩が効いているけれど、これが本物の味なんですよ。]と説明してくれました。
フランスで作られたラベル付きだなんて、ラベルが付いているのは普通の事ではないでしょうか?
フランスでラベルのないサラミを見かけたら、逆に怪しいと言う事なのでしょうか?
袋に入れないで、裸のまま陳列されています。
サラミって美味しいから食べていたけど、元は保存食として作られたんだなぁと、中世にいる気分になりました。
たしかにこの町は中世の面影を残しているし。
しかしこれで金賞が取れるとなると、フランス人の味覚を疑うしかありません。
スペインのマルシェだったら、同じような保存肉である生ハムの真空パックが同じような値段で買えるはずなのです。
しかも美味しい! まずハズレなし!
しかも真空パックだから、他の物に臭いがつかないからいいのです。
ごめんなさい、辛口コメントで。
おや、大好きなナッツとドライフルーツの屋台を発見。
プルーンを試食させてもらうと、肉厚でフルーツの感じが残っていて美味しかったので、即お買い上げ。
ここの商品は見た目が綺麗で美味しそうです。
私は普段からオーガニックのナッツやドライフルーツを食べますが、そんなに見た目は良くないことの方が多いのです。
ここはオーガニックではないから危険な予感がしたのですが、こんな田舎町で売っているのだから、そこまで農薬をガンガン使ったり保存料を入れたりしないだろうと、根拠もないのに良い方へ想像して、お会計を済ませました。
プルーンは5€くらいで、パリで買うオーガニックよりは少し安く感じました。
ところが12€払ったミックスナッツは200グラムもない軽さ。
えー、こんな少しで12€なんて信じられない!
販売してるおじさんに確認すると、
[ 1kgで85€ユーロなんだからその量で12€は間違いじゃないよ。最初に全部説明したでしょ。]
と言って、返品も受けつけてくれない恐ろしい露天商でした。
なんか怪しく感じた最初の印象は、商品がオーガニックではない事ではなくて、このおじさんに対しての本能からの警告だったのですね。
パリで売っているオーガニックのナッツだって1キロで85€なんて見た事がありません。いくら高くても1キロ40€ではないでしょうか?
ここのオーガニックでもない普通の商品にどうしてそんな価値があるのか、意味が分かりません。
よく見渡せば、どこにも値札が立っていませんでした。
ぼったくりだぁー。
フランスのマルシェで、初めてぼったくられてしまいました。
他にも測り売りの露天を見かけましたが、きちんと値札が出ていました。
そういえばおじさんに、何処から来たのか聞かれたので、パリだと答えました。私が地元の者ではないのを確認しての確信犯だと思います。
教訓1: 次回から、旅先でどこから来たのか聞かれたら、ここに住んでると言う事にしよう。
教訓2: お金を渡す前に値段を確認しよう。
40度の熱さと、憧れの観光地での浮かれでボーっとしていて、いつものように財布の紐を閉めていなかったのが悪かったのです。
ここはパリより高い観光地。
フランスのいろいろな場所を旅してきましたが、パリよりも物価が高いところがあると言う事に驚きました。
また、他の露天商では真空パックのクルミの重さが書いてなかったり、何の商品か忘れましたが賞味期限が書いてなかったりと、ズサンなのか、意図的なのか中世のままなのか、ちょっと疑いたくなる露天商を見かけました。
フランスの田舎の人に良い印象を持ち続けていたのですが、どこにでも悪い人はいるようです。
もちろん真っ当に商売している、善良な商人が大多数なのかもしれませんが。
この一件で、すっかりサルラを見る目が変わってしまった私。
日本でお祭りの屋台は高いと思っていたけれど、フランスのマルシェは安いと思っていたので、そうだ!祭りの屋台と同じ感覚なのかぁと、日本の祭りを思い出しました。
ここは生活者を相手にした普通のマルシェだけではなく、観光客のための露店の意味合いもあるのです。
ショックを受けている場合ではありません。他の人が絶賛していたサルラの魅力を見つけなくては。
中世の街並みが人気らしいのですが、中世の街並みの中にレストランとお土産物屋さんがひしめき合っていて生活感があまりないから、観光客は楽しく感じるのではないかと思いました。
しかもフォアグラやカモの名産地。
それなら人気があるはずです。
同じ中世の街並みなら、パリから近いプロヴァンだっていい景色です。
ただ、プロヴァンはレストランや土産物屋がサルラよりも少なく生活感があり、土産物もバラのキャンディくらいしか思い浮かびません。
中世っぽさや、自然な環境が好きなら断然プロヴァンの方を勧めます。
下3枚はプロヴァンの景色です。
観光地で集客するためには、希少性のある観光名称があるか、買い物と食事で客を満足させられるかにかかっています。
そう言う意味では、サルラはアクセスが悪いのに集客に成功している観光地です。
ただ、ミニマリストで買い物にあまり興味がなく、ヴィーガンやベジタリアンには、サルラの景色だけでまた行きたいと思わせることができるのか、疑問が残ります。
似たような村ならフランスのあちこちにあるのですから。
レストランにしても、パリのサンミッシェルに並んでいるようないかにも観光客相手のレストランが多く、セットメニューだけをみたら安く感じるかもしれませんが、サラダ単品の価格をみていたら、パリと同じくらいの金額です。
セットメニューは前菜、メイン、デザートまで入っているところが多くて、デザートを食べない人にとっては困りもの。
なんでデザートが付いちゃうの!
コーヒーにしてもらえるのか、いちいち交渉するのが面倒くさい。
散々レストランを探したあげく、試食のせいでそんなにお腹も空いていないし、暑くてフォアグラなんて食べる気にならないので、猛烈に飲みたいガスパチョスープ(冷製トマトスープ)をスーパーで買い、マルシェでクロワッサンを買い、近くの公園でピクニックをすることに。
すでにランチをしている人達や、寝転がっている人もいました。
ガスパチョが大好きですが、もともとスペインのスープだけあって、暑い時に飲んで最高に美味しく感じるのだなぁと、改めて思いました。
公園の空気は凄く気持ちが良くて、あの空気感は今後も忘れないと思います。
そしてサルラのおかげで、この周辺にある日本ではあまり知られていない、魅力ある古い城の存在を知りました。
いつかその城を訪れてみたいと思います。
美しい、素敵、また行きたい!と思う場所は人それぞれ、好みがあります。
サルラの場合、まだ日本の人にとってメジャーな観光地ではないので、気軽に誰でも訪れる町ではなく、サルラに思い入れのある人がわざわざ行くところです。
そんな人がサルラを絶賛しかしないのは当たり前だし、フランス語が分からなければその土地の人の性格が分かりにくくて、バカにされていても気がつきません。
それはそれで幸せな事かもしれませんが、あえて私は知られていない一面をお伝えしました。
サルラの魅力は他の方がたくさん書いていらっしゃいますので、そちらを参考にしてみて下さいね。
私ならサンテミリオンという、ワインの産地で有名な村にもう一度行きたいです。
パリ近郊なら先程のプロヴァンに魅力を感じます。
ここはこの先も何度も行くつもりです。
プロヴァンに関しては、10年前に行った時は中世祭りの寒い日で、全然良さを感じませんでしたが、2度目は天気のよい日で、全く印象が違いました。
それ以来、きちんとしたフレンチが食べられるレストランも見つけたので、リピートして、行くたびに違うプロヴァンの魅力を発見しています。
サルラも、もう一度行ってみたら、今回とは違う印象を受けるのかもしれません。
注: 私は一般の日本の人の感覚とちょっと違うところがあるので( だからサッサとフランス人になったのですが)、私みたいに感じる人は少ないかもしれません。
もし私が1人ではなく、誰かと一緒にサルラに行っていたら、また印象は違うものになっていたかもしれません。
フランスのメジャーな観光地しか知らない人がサルラに行ったら、きっと素敵なところだと感動すると思います。