jeanne-lully’s blog

ちょっと変わった元日本人がパリで思う事

片付け上級者からミニマリストへの道

来月の引っ越しを前に、不用品処分に励んでいるリュリです。

 

 2年前にここに引っ越してきてから一度も使わなかった物がある。

これらの中で未練のない物から処分した。

 

 未練ある物は売ったりあげたりして、自分の心にけりをつける。

 

 一通り部屋を見渡すと、大した物は残っていない。

それでも毎日、まだ処分出来る物はないかと探しているのだ。

 

ここまでくると片付け上級者ではないだろうか?

 


 何でここまで物を手放そうとしているのだろう?

 


 来月の引っ越しを機に、憧れの寅さんにより近づきたいと思うのだ。

 

映画、寅さんをご存知だろうか?

 


 渥美清さん演じる寅さんは、トランク一つで直ぐに家を飛び出して、身軽に旅をしている主人公だ。

 


 こんな生き方に憧れて、1人で運べる量の荷物しか持たない旅行は実践してきた。

 

機内持ち込み用の小さなトランク一つと、リュックひとつで、秋から冬のフランスをひと月、気ままに旅をして回った事がある。

 

3泊程度ならリュックひとつでよい。

 


 よく考えてみると旅行の場合は帰れる家があるから、家に荷物を置いておける。

 


 引っ越しは所持品全ての大移動。

トランク一つでは済ませられないだろう。

 

この先まだまだ引っ越しを繰り返すだろうと予想しているので、今回の引っ越しを機に[ 物を持たない生活 ]を始めようと思っている。

 


 私のような低予算でアパートをパリに借りるとなれば、全ての面において気に入った物件などあるほうが珍しい。

 


 狭い、日が当たらない、エレベーターがない、古い、治安が悪いのどれかに当てはまる。

 


 世界の大都市ならどこでも同じようなものだろう。競合が多い都市で安い部屋探しは大変だ。

 


 その中で少しでも自分の希望に合ったアパートを探して住んでみて、また他の物件が見つかったら引っ越したいと思う。

 

 その為には運ぶ荷物は減らしておきたい。

 

こうなると寅さんよりもミニマリストを目指すのが良いように思える。

 


 YouTube で見たミニマリストさんの生活は見事だった。

 


布団は寝袋という発想には恐れ入ったし、服の数も小さなクローゼットに入るだけしか所有していなかった。

少ない物で豊かに暮らす達人である。

 


 パリで不動産会社を通さないでアパートを借りる場合、家具や食器、寝具がついている物件がある。

 


 私はこういう物件ばかりに出合うのだ。

学生で初めてフランスに来た時はどんな備品でも買わずに済むから、あるだけマシだと思っていた。

 


しかし生活者となって働いている今は、気に入らない物が部屋にあっては迷惑だと思うようになってしまったのだ。

 


 食器や調理用品、寝具など、自分の趣味ではない物に囲まれて毎日過ごす自信がない。

 


 私の住めるアパートレベルでは、使い古した物が置いてあるのが普通。

 


 今住んでいるところは、前の住人から綺麗な所持品をまとめ買いして使用している。

 


備え付けの古い物は倉庫に入れてしまった。

 


 しかし来月から住むところには倉庫がないから、現在使用中の物を運んでも物が倍になってしまう。

 


 まあ家でガス台を使った料理はしないので、鍋やフライパンは持っていく必要はない。

 


前回の引っ越しで持ってきた綺麗な皿は、いくら綺麗でも一度も使っていないのだからもう要らない。

 


引っ越し後で必要になったら、好きな物を買えばいい。

 


そう考えたら気が楽になった。

この際、好きか、気に入らないか、使うか、使わないかで分別して、引っ越し荷物を厳選していこうと思う。

 


  すると突然、クローゼットの隅に置いてあるブロック大の包みが要らない物のように思えてきた。

 

中には高校の頃から現在までの写真が束ねてある。

 

幼少時代の写真はアルバムにこびりついて剝がせなかったので、実家に置いたままになっている。

 

これは私の物と言うよりも親の思い出のように思うので、処分は親に任せたい。

 

 手元にある写真の処分について、職場の同僚に意見を聞いてみたら、全員が捨てない派だった。

 

写真は思い出だから。

捨ててしまったら二度と手に入れられないから。

 

一応納得したものの、やはり処分したい欲は消えない。

 

そこでネットで読んだ写真の処分対象条件を参考に、実践することにした。

 

私が採用した処分対象にする写真選択方法は、

1. ボケている写真

2. 同じような写真

3.自分以外の写真と風景写真

4.気にいらない映りの自分の写真

 

フランスに来てから一度くらいしか見ていなかった写真の束を、夜な夜な分別し始めた、

 

不思議と自分の写真が少なかった。

自分の写真は、家族と一緒か旅先の思い出写真ばかり。

 

日本にいた時は旅行写真を眺めてばかりいた。

 

経済的にも仕事的にもそんなに簡単にはヨーロッパ旅行に行かれなかった。

 

職場に1週間の休みも言いだすのに勇気がいる環境だったし、やっと休みが取れたら今度はいつ行かれるか分からないのだから、旅先では思い出作りに勤しんだ。

写真だって一度の旅行で300枚くらい撮った。

 

 こうしてやっと作った大切な思い出である。

この時の解放的な空気を常に感じていたかったので、旅行写真は私の癒しグッズとして大活躍していた。

 

そんな大量の写真も、何度かの引っ越しでブロック大まで減ってはいる。

 

ところが好きなフランスに住むようになると、旅先で写真をとる必要がなくなった。

 

旅先はもともと好きなヨーロッパがほとんど。

近いし気軽に行かれるので、気に入ったらまた行って現地を見て懐かしく思えばいい。

 

過去にも整理しているので、あっという間に写真の厳選が終わって、残ったのは薄い単行本一冊程度の厚さの写真束。

 

なーんだ、これしか必要な写真がなかったのに、わざわざ日本から全部運んで来てバカみたいだった。

 

捨てる写真の多い事!

自分の顔が分からないようにちぎって袋に入れたら、かさばって倍の量になってしまった。

 

こんな事に二時間以上もかけてしまった。

これだけの時間があったら、読みかけの小説が読めたし、作りかけのエコバッグが完成したではないか。

 

不用品は持たないに限るが、その物が不用品だと気づくまでに時間がかかることもあるのだと知った。

 

 写真が処分できて、ダイエットに成功した時のように清々しい気分である。