フランス人になったのに、麺をズルズルすすってしまうダメな私
先日、大人数で食事をしていた時に、
[ 海外生活が長いのに、麺をすすって食べるんですねー。]
と指摘されました。
その人は私以上に海外生活が長く、音を立てて麺を食べる人を見たくないタイプ。
ありがとう😭
誰にも言われたことがなくて、ずっと知らずにいたから、教えてくれて良かったなぁ。
その後はすすらないで食べてみたら、上手くたべられません。
パスタは上手く食べられるのに!
そうだ!
フォークとスプーンを使えば音を立てずに綺麗に食べられる!
いつもパスタはすすらないで食べてるし。
やってみたら大成功!
でも味の薄いスープの中に泳ぐ細麺を、フォークとスプーンで食べたところで、さっきまでの美味しさは感じられなくなっていました。
今までは麺をすすった時は、口の中で麺の固さを感じながらスープの旨味がスチームの如くうずまいていたのに、テロンとした麺が舌の上に留まって、後から流れてきたスープとは絡まらず、別々に味わはなくてはならなくなってしまったのです。
まだ経験が浅いから、美味しく感じる食べ方を見出せないだけなのか、いくら経験を積んでもこんな味にしかならないのか?
とにかく、ラーメンや蕎麦などの細麺に関しては、すすって食べた方が美味しく感じるのではないでしょうか?
伸びてしまう前に、さっさと食べ倒してしまいたい。
しかしここはパリ。
ひと前で大きな音を立てて鼻をかむ事は躊躇いなくできるのに、麺をすする音は許せない人々が暮らす国。
ところでパリの外食でラーメンやうどんは、日本円にして千円以上します。
そんなに払ってまで食べる気にはなれず、年に数回だけ恥をさらす程度で済んでいた事が不幸中の幸いです。
フランスでのラーメン屋さんや、うどん屋さんは、日本での利用のされかたと少し違うのです。
デザートを置いていたりする店もあります。
ラーメンやうどんは、もはや仕事の合間に手早く食べようという、日本と同じ意味合いの食べ物ではありません。
日本好きな人が日本の食文化に触れるためか、日本の雰囲気を楽しみながら食事をする際に選ぶ、食のジャンルにすぎません。
麺が伸びても御構い無しに、のんびり食事を楽しまれては、回転率は低くなり、薄利多売の低価格は実現不可能です。
日本の立ち食い蕎麦屋が成り立っているのは、ちょっとしたスキマ時間に麺をすすり食うスピード技を持つ人が、入れ替わり立ち代わり出入りしているからかもしれません。
私もかつてはおじさま達に混じって、立ち食いでズルズル言わしていたものです。
初めて外国人がラーメンをフォークでクルクル巻いて食べているのを見た時に、すごい違和感を覚えたし、食べ方も文化なのだから、すすって食べればいいのにと思っていました。
ところが外国人はすすって食べる事が出来ないと知り、ならば仕方ないと納得したのです。
日本でフォークでラーメンをクルクルして食べる外国人を見かけたら、あなたはどう思いますか?
箸をかんざしのように髪に刺しちゃう人を見たら?
箸をドラムのスティック代わりに演奏し始めた人の横に座ってしまったら?
ついでにギョーザのタレや、醤油を見ると、それらを必要とするモノなんて何も注文していないのに、タレを並々小皿に入れて置いておく人を見たら?
香水をつけすぎてきた人の隣の席で、落ち着いて食事が出来ますか?
食べ方以外で、外国人が日本人を不快にさせる事は結構あるのですが、日本に住んでいたらそれを知る機会が少ないのは当然で、外国人は上品だと勘違いしているのではないですか?
人の食べ方で、綺麗とか不快になるとかあるとは思いますが、たまたま日本は麺をすするという特技を持った人が多い国で、何の不思議もなく生活してきました。
どんなものであっても、美味しいうちに食べるという、作り手への敬意もあり出来るだけ早く食べ終えるという意識があるのではないでしょうか。
汁付きの麺が発達した日本だから、そんな意志がすする技術を発達させたのかもしれません。
せっかく絶妙なタイミングで出てきても、話しながらゆっくりゆっくり食べたら、いくら見た目は綺麗に食べていてもねぇ?
外国人が、日本人の持つ[ すする ]という特技を下品だと言うのであれば、だったら日本で麺物屋に入らなければいいだけのことです。
外国人がかなり日本にやって来たからと言って、麺をすする人にいまさらヌードルハラスメントだと言って叩く必要はないと思うのです。
ただし外国で暮らす私は、その国の感性に従うのが筋でしょう。
もう人が周りにいるときに麺物を食べるのが面倒になってしまい、苦労して食べる労力の割には美味しく感じないから、いっそのこと食べるのをやめようと思います。
もしも麺が食べたくなったら、家で思いっきりズルズル音を出して、思う存分に味わいたいと思います。